一穂ミチさん、お初にお目にかかります。
タイトルどおり、登場人物も少なく小さい世界の中の物語で、6編からなる短編集だ。
それぞれのエピソードにチラッと現れる人が何気にリンクしていたりして、最後の話が冒頭の話に繋がるというような仕組み。
話の内容はそれほど深掘りされているわけではないし、人物像も浅めかなと思うけど、描写がなかなか面白かった。
ある場面でスパッとカットされて別の情景が現れる。一瞬ちょっと戸惑うのだけど、読み進んでいくと「ほぅほぅ、そういうことね」と納得するような展開だ。
1つ1つの話は興味深くてサクサク読み進んだけど、栞子的にはそれほど深く心に残るようなこともなかったしスカッとする物語でもなかった。
登場人物にあんまり魅力を感じなくて感情移入できるような人はいなかったし…。
それでも感動する作品はあるのだけど、全体的には「ふーん…」で終わったかな。
文章表現には惹きつけられるものがあった。
<クチナシの白い花…
>

最近、小説を読みながらハッとする表現に出会うとそこに付箋をつけていて、読み終えてみると、この作品は付箋をつけた箇所が結構多かったわ。
残しておきたいフレーズもいくつかあったんだけど、その時間もなくソッコーで図書館に返しに行ったので、いつものようにすっかり忘れている。