シリーズの3作目です。
今回もとっても素敵なお話でした。
4編から成る連作ですが、完全に前作の続きから始まったので、記憶喪失気味の栞子もすぐ記憶が蘇ってきて物語に入り込むことができました。

それぞれのエピソードが違った人の視点から描かれています。

1. チケットと昆布巻き
 大手企業の就職した大学時代の同級生たちと自分を比べて卑屈になっている竹野のお話。
2. カナコの歌
 竹野の出版社が発行している情報誌を見て三日月堂にやってくる、亡くなった弓子の母の
 親友だった聡子が、それまで疎遠になっていたもう一人の仲間裕美と再会してあることを
 計画する。
3. 庭のアルバム
 弓子と母の親友2人が作った活版印刷の文字に興味を示して三日月堂を訪れる高校生楓。
4. 川の合流する場所で
 弓子が楓と一緒に出店したイベントにやってきた印刷会社の悠生と、かつて活版の職人だった
 悠生の大叔父。

1つ1つのエピソードが繋がって、三日月堂に訪れる人たちの輪が広がって、彼らの考え方や生き方にまでも影響を与えていく。
じんわり、ほっこり、気持ちのいい物語です。

     こういうとき、なんて言えばいいんだろう?かわいそう、がちがうのはわかる。
     上から目線な感じがする。      (p.173)

これは高校生の楓の思いなんだけど、読んだときハッとしました。
 

栞子の職場には栞子と同じくらいの年齢の女性があと2人居るんだけど、彼女たちがわりとよく「かわいそう」という表現を使うので、なんか違和感あったんですよね。
 
例えば同じ年頃の友人が病気になったと知った時、彼女たちはかわいそうと言うのだけど、かわいそうという言葉は違う気がする。それともかわいそうと思わないわたしは冷たい人間なんだろうか。でも、かわいそうってなんか上からな感じがしない? と思ってたんです。
この楓の言葉がまさしく栞子の気持ちと一致して、ちょっとゾクってなりました。

ちょっと話が逸れてしまったけど、次はあの大きな印刷機を動かすことになるんでしょうかね。
そして悠生との恋バナなんかもあったりするんでしょうか。アッサリ目でお願いしたいですけど。

楽しみです。





三日月堂



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